ABPS(Agaricus Blazei Polysaccharide)の学術報告
第1084号 2004年10月6日 健康産業新聞
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ヒメマツタケ製品に抗アレルギー作用
日本食菌工業株式会社はこのほど、ヒメマツタケとアントシアニジンを組み合わせた製品『ABPS(Agaricus Blazei Polysaccharide)』に抗アレルギー効果があることを前臨床試験で突き止めた。
『ABPS』は、ヒメマツタケ(Agaric blazei murrill)の細胞壁破砕末を80%,ビタミンCを4%、アントシアニジン (プロアントシアニジン)を2%含有した製品。
ヒメマツタケの子実体および培養菌糸体由来の多糖体は、ある種の腫瘍や生活習慣病に有効であることが
基礎・臨床実験によりすでに実証されている。
またアントシアニジンは、免疫システムの正常化、毛細血管の強化などのほか、花粉症対策への有効性も示唆されている。
このため今回の実験では、これらの素材を組み合わせた製品『ABPS』の抗アレルギー効果について検討。
ヒスタミンなどの化学伝達物質を放出する「マスト細胞(肥満細胞)」がアレルギー症状の発症に関することから、 肥満細胞からのヒスタミン遊離に対する『ABPS』の抑制効果について検討した。
その結果、『ABPS』は,
1.ラット腹腔肥満細胞からのヒスタミン遊離、
2.IgE関与の抗血清のよる感作肥満細胞からのヒスタミン遊離
のいずれかに対しても抑制効果を示した。
又、モルモット摘出腸管におけるヒスタミン 収縮に対しても抑制効果が認められた。
これらの作用は、いずれも容量依存性が認められたという。
このため研究グループでは、副作用が問題となっている抗アレルギー薬に対して、「天然由来の『ABPS』は、 副作用の少ない抗アレルギー作用を持つ素材として興味が持てれる」とまとめている。
同社では、10月5日開催の「食品開発展」で同製品を紹介し、豊富な科学データを持つ製品としてアピール
している。
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ABPS(Agaricus Blazei Polysaccharide)の
抗アレルギー作用に対する基礎的研究
伊藤 均(元三重大学医学部助教授)
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要旨
ヒメマツタケ(学名:Agaricus blazei murrill、正式和名:ヒメマツタケとして、原色日本新菌類図鑑、1987年、 保育社発刊)は、ハラタケ属(アガリクス)のキノコに位置する。
ヒメマツタケの子実体及び培養菌糸体由来の多糖体(ATOM:Antitumor Organic Substance Mie)は 動物移植固型腫瘍、腹水型腫瘍に有効であり、癌から生活習慣病にわたる多彩なBRM(Biological
Response Modifiers:生物学的応答調節剤)様作用をもつことが、基礎・臨床実験により証明されている。
ビタミンCは、
1.毛細血管抵抗性増強作用
2.副腎皮質機能に対しては、ステロイドホルモンの生合成促進または異化抑制に関与すること
3.結合組織に対しては、コラーゲンの形成・維持に必須のビタミンで骨形成を進行させること
4.メラニン色素の異常沈着防止作用
5.抗酸化(活性酸素消去)作用をもつことがよく知られている。
アントシアニジン(プロアントシアニジン)は、ブドウの種子や皮に多く含有される複数のフラボノイドのブレンド で、カテキン類が数個つながった構造をしており、強力なフリーラジカルスカベンジャーとして働く。
特に免疫 システムの正常化、毛細血管強化、酸化ダメージにより起こる各種疾患の予防などが期待される。
また、アレルギーの対症療法としてフラノボイドは慢性炎症を抑制するといわれ、さらに粘膜や皮膚の活性化 などの作用をもち、花粉症対策にも有効であることが示唆されている。
上記の作用が明らかになっているヒメマツタケを今回は、ヒメマツタケ細胞壁破砕末(2,600メッシュ)80%、 ビタミンC4%、アントシアニジン(プロアントシアニジン)2%、含有されたABPS製品について抗アレルギー
作用を検討した。
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| 実 験 方 法 |
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方法:
ラットの腹腔肥満細胞からヒスタミン遊離抑制作用を検討するためには、日本エスエルシー(株)より 購入した体重200gのウイスター系雄性ラットを使用した。
このラットを断頭瀉血した後に10U/mlの ヘパリン含有ハンクス液10mlを腹腔内に注入しマッサージした後、腹腔内液を採取した。
採取液を40%フィコール液に重層し、30分後遠心分離し、フィコール層上に残った白濁層を集めPBS (Phosphate-buffered saline),およびBSA(Bovine
serum albumin)0.1%でもて3回洗浄し、PBSに再浮遊 させた。
分離した肥満細胞は1X106cells/mlになるようにPBSで調整し、1.8mlを10分間prei-ncubation した後、各濃度の検体0.1mlと抗原あるいはヒスタミン遊離物質0.1mlを加えて10分間incubationし、氷冷により
反応停止し、遠心分離後、上清と沈査のヒスタミン含量を河合らの方法1)により蛍光法で測定した。
検体のヒスタミン遊離抑制率は次式により算出した。
検体存在下のヒスタミン遊離ー自発遊離
遊離抑制率(%)=(1- --------------------------------------- )x100
非検体存在下のヒスタミン遊離ー自発遊離
1)河合未海:諸種動物のヒスタミナーゼ活性について。
三重大学18(1)18-23 1974.
2)Tada,T.&Okumura,K,:Regulation of homocytotropic antibody formation in
the rat 1.feed-back regulation by passively administered antibody.
J Immun 106: 1002-1011 1971
なお、対照の抗ヒスタミン薬(Antihistaminics(以下AH))には塩酸ジフェンヒドラミンを使用し、ヒスタミンreleaser
にはcompound48/80(シグマ)を用いた。
ラット抗EWA(Egg white albumin(以下EWA))血清はTadaらの方法2)に準じて調整した。
すなわち、EWA10mgと不溶性化百日咳菌(和光純薬)1x1010個を含む生理食塩液0.25mlを ウイスター系雄性ラット前後足蹠皮下に2分割して投与し、5日後に10%のEWAを含む生理食塩液を背部に 0.1mlずつ2ヵ所、および臀部に0.1mlずつ2ヵ所の筋肉内に投与して、9日後、前述した方法と同様にして
腹腔肥満細胞浮遊液を得た。
またこの時、心臓採血により抗血清を得た。
抗EWA血清のIgE抗体価は、 48時間同種PCA(Passaive cutaneous anaphylaxis,受身皮膚アナフィラキシー)による力価を測定したところ1:101であった。
抗ヒスタミン作用を検定するためには、ハートレー系モルモット(体重約350g)を一晩絶食し撲殺後、直ちに小腸を摘出し2~3cmの回腸片とし、その両端を糸で縛り、38℃のタイロード液50mlを満たしたマグヌス装置の
中へつるし空気を流通させながら、腸運動をKymographionに拡大描記させた。
腸運動が一定になってから実験を開始した。
なお投与した検体はマグヌス管内のタイロード液によって希釈されるため作用濃度は投与濃度の1/50濃度となる。 |
表1 非感作ラット腹腔肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用
| 実験群 |
用量(µg/ml) |
ヒスタミン遊離率(%) |
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対 照
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-
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7.0±1.3
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| ABPS |
250
|
6.8±1.1
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1,000
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7.0±1.2
|
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1,500
|
7.2±1.4
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A H
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100
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6.9±1.3
|
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500
|
6.8±1.0
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実験成績は平均値±標準誤差で示す。
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表2 Compound48/80(10µmg)により誘発された
非感作ラット腹腔肥満細胞からの
ヒスタミン遊離抑制作用
| 実験群 |
用量(µg/ml) |
ヒスタミン遊離率(%) |
抑制率(%) |
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対 照
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-
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88.2±7.4
|
-
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| ABPS |
250
|
87.3±6.5
|
1.0
|
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1,000
|
65.7±5.2*
|
25.5*
|
|
1,500
|
49.6±5.5*
|
43.8*
|
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A H
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100
|
30.4±4.6*
|
65.5*
|
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500
|
12.1±3.0*
|
86.3*
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*P<0.05
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表3 抗EWAラット血清感作感作ラット腹腔肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用
| 実験群 |
用量(µg/ml) |
ヒスタミン遊離率(%) |
抑制率(%) |
|
対 照
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-
|
32.4±4.1
|
-
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| ABPS |
250
|
30.7±3.8
|
5.3
|
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1,000
|
27.2±3.3*
|
16.1*
|
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1,500
|
20.8±2.9*
|
35.8*
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A H
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100
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25.3±2.1*
|
21.9*
|
|
500
|
12.4±1.9*
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61.7*
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*P<0.05、抗原としてEWA(2mg/ml)を添加
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| 結 果 |
| 1)非感作ラット腹腔肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用
各種濃度のABPSと非感作ラット腹腔から採取した肥満細胞を10分間、孵卵器の中でインキューベーションした時のヒスタミン遊離率を測定した結果を表1に示した。
対照群(生理食塩液投与)の自発ヒスタミン遊離率は7.0±1.3%であり、ABPSの250、500、1000µg/mg では、それぞれ6.8±1.1%、7.0±1.2%、7.2±1.4%を示した。
AH(抗ヒスタミン剤:塩酸ジフェヒドラミン)100、500µg/mlでは、それぞれ6.9±1.3%、6.8±1.0%を示し、ABPSとAHいずれも対照群と
比較してヒスタミン自発遊離率においては統計学的有意差は認められなかった。
2)Compound 48/80により誘発された非感作ラット腹腔肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用
表2に示すように、ヒスタミン遊離物質であるCompound 48/80・10µg/mlによるヒスタミン遊離は、 88.2±7.4%であった。
これに対してABPS250、1000、1500µg/mlでは、それぞれ87.3±6.5%、 65.7±5.2%、49.6±5.5%を示し、抑制率では、1.0%、25.5%、43.8%であった。
AHの100、500µg/mlでは、それぞれ65.5%、86.3%の抑制率を示した。
3)抗EWAラット血清感作ラット腹腔肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用
予備実験の結果では、抗EWAラット血清感作ラットより採取した腹腔肥満細胞からのEWA抗原液による ヒスタミン遊離は、EWA100µg/ml以上の添加によって惹起され、この場合、2mg/mlの添加時が
最も強く32.4±3.8%のヒスタミン遊離率が認められた。
ABPS250、1000、1500µg/mlでは、 それぞれ、5.3%、16.1%、35.8%の抑制率を示し、1000及び1500µg/mlでの濃度では
有意のヒスタミン遊離抑制率を示した。(表3)
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| 考 察 |
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アレルギー反応は、もともと体を守ってくれるシステムである免疫機構の一つが、過剰に反応した結果 不快な症状として現れてくるものである。
一般にアレルギーと呼ばれているものは、「I型」と呼ばれる一群のアレルギーを指す場合が殆どで、この中には疾患の例としてアレルギー性鼻炎(花粉症)、蕁麻疹、
気管支喘息、アトピー性皮膚炎、消化器系のアレルギーなどが含まれる。
アルルギーが現れると必須条件として、
1.アレルギーを引き起こす原因である「抗原」の進入
2.抗原に対して免疫系の細胞の関与により体内で作られる「特異的抗体IgE]の存在
3.各種ケミカルメディエーター(ヒスタミン、セロトニン、プロスタグラジン、ロイコトリエンなどの化学伝達物質)を 放出する「マスト細胞(肥満細胞)」の関与と言う三要因がある。
「I型アレルギー」の諸疾患が起こるメカニズムは、すべてこの三要因が関与している点はすべて共通である。
例えば、スギ花粉にさらされていると、スギ花粉の対する特異的IgE抗体ができ、これが血流によって全身に 運ばれ、とくに外部環境にさらされている、鼻、咽喉、目、消化管などの粘膜のマスト細胞の表面に結合し、ヒスタミンをはじめとする各種のケミカルメディエーターが放出される。
このような反応は、抗原(花粉)が 作用すると直ちに起こるので「即時型アレルギー反応」と呼ばれる。
この反応に続き、少し遅れて「炎症」を主体とした反応が起こり、これらが複雑に絡み合って長時間不快な 症状が現れる。
これが一連のアレルギー反応のメカニズムといえる。
そこで今回は、まずI型アレルギーの実験モデルとして肥満細胞からのヒスタミン遊離に対するABPSの 抑制効果について検討した。
ABPSはラット腹腔肥満細胞からのCompound 48/80によるヒスタミンの遊離、IgE関与の抗血清による 感作肥満細胞からのヒスタミン遊離の両作用に対して抑制効果を示した。
また、モルモット摘出腸管における ヒスタミン収縮に対しても抑制作用が認められた。
これらの作用はいずれも容量依存性が認められる。
従来の抗アレルギー薬は、鎮静作用(眠気)が高い頻度で発現し副作用が問題となっている。
天然物由来のABPSは副作用の少ない抗アレルギー作用をもつ素材として興味が持たれる。
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| 結 論 |
ヒメマツタケ細胞壁破砕末、プロアントシアニジン含有するABPSについて、「I型アレルギー」の実験モデルとして、 ラット肥満細胞からのヒスタミン遊離に対する抑制効果について検討したところ、ABPSは、肥満細胞からの
Compound 48/80によるヒスタミンの遊離、IgE関与の抗血清による 感作肥満細胞からのヒスタミン遊離の両作用に抑制効果を示した。
また、モルモット摘出腸管における ヒスタミン収縮に対しても抑制作用が認められた。
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